- 全体の形状 -

 仮面ライダーマスクの形状は、一見、実に単純な形状に見えますが、実際に作ってみると良く解るのですが、非常に微妙な形状になっています。正面、側面は多くのスチールが存在するので解り易いのですが、問題は真上から見た形状です。この角度からのスチールは、殆ど見た記憶がありません。そして、自分で粘土をいじっていて最も判断が難しかったのは、この、上面から見た形状でした。この形状が把握できないと、正面と側面のバランスがとれず、Cアイの位置もあいまいとなり、どうにも納得ができないのです。

 具体的には、基本は「前後に潰れた楕円形状」をしており、さらに、Cアイは、楕円と独立した状態で設置され、基本の楕円形状とCアイの接合ラインをなだらかに成形した形状」となっています。これは、言葉で表現するのが困難なので、写真で判断してください。実物を見ると、思った以上にCアイの外側に続くラインが前にせり出していることが解ります。もし、このバランスを、実物を知らず、スチールのみから見出せたならば、それは素晴らしいバランス感覚だと思います。

 ヘルメットというと、野球のヘルメット、工事現場のヘルメット、オートバイのヘルメット、全て,前後に長い楕円のイメージがあります。もちろん、ライダーマスクは前後に長い楕円を基本に考えることはないのですが、真円を基本として考えてしまい、これだけ前後に潰れた楕円であるという発想は、私にはできませんでした。おそらく、原型を製作していく過程で、左右のボリュームUPをすすめた結果、そのような形状バランスに到達したのではないかと、私は考えています。

 Cアイ周りの形状については、Cアイを粘土原型に埋め込んで成形していくと、マスクの球面と、Cアイの球面とでは、当然、ラインが合いませんので、Cアイ側に接合ラインを設定して、マスクのラインをそれに合わせていくことが必要と理解できます。問題は、Cアイの取り付け角度をどう設定するかということです。

 おそらく、実際の仮面ライダーの原型製作では、Cアイがない状態で曲面を成形した上に、Cアイを「置いて」、Cアイの周りに粘土を盛り、隙間を埋めることで固定したと考えられるのです。マスク基本形状との接点は図に示す2点であったのではないか?と、全体の形状から推定しています。

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