- Cアイ -

 旧1号のみならず、仮面ライダーの造型で欠かせない重要ポイントでしょう。Cアイについては、「外形」と「複眼パターン」に分けて考えてみたいと思います。

 

○外形

 Cアイの外形については、左右同じと考えて良いでしょう。スチール写真と形状を比較しながらマスク側のCアイ外周ラインを詰めていくと、結果的に、左右どちらのCアイを入れてもはまる形状になります。右眼と左眼を逆に取り付けても、ほとんど無理なくつけられることが、同じである証拠になると思います。右眼、左眼それぞれが左右対称でないと、逆には取り付けられません。違いはせいぜい1mm程度です。

 ただし、これは旧1号、旧2号に限定した話であり、新1号(おそらくは桜島1号)以降のCアイは、左右非対称になっています。旧1号、旧2号、新1号で複眼モールドは同じであることから考えると、このことは、新1号(おそらくは桜島1号)の時点で旧2号マスクを修正したマスクを原型とするマスターモールドが製作され、撮影、アトラクション用に量産されたことを示唆しています。

 このことをスチール等で判断するためには、Cアイの底面を真っ直ぐに見たアングルの写真が必要です。ところが、その様なアングルの写真は、なかなかありません。マスクを斜め上から見たアングルです。最近、あまりこの件については意識して書籍を見てはいませんが、現在入手できるスチールやビデオをじっくり検討していけば、実物を手にすることなく、この結論に到達できると思います。

 底面形状は、半円と半楕円を組み合わせた形状、いわゆる「卵型」と思われます。実測をもとに作図したものを、下に示します。

 高さ(厚さ)は30mmで、膨らみにはかなりのボリュームがあります。自作する際は、プラバンで、底面と半月状の板を十字に組んでゲージとし、外形を仕上げていくと良いでしょう。「こんなもんかな?」と思ったところから、もう一回り大きくするぐらいで丁度良い程、ボリュームはあります。

 

○複眼パターン

 Cアイの複眼パターンは、ご存知の様に、外形の雌型の内側に粘土を貼り込み、その上から四角の突起を押し付けて形成されたと言われています。おそらく事実だと思います。問題は、内部の突起の数や大きさです。

下の写真は、左眼(正面向かって右)の複眼パターンの反転モールドです。外形は、Cアイの外側ラインになります。モールドの高さ(Cアイ裏側の深さ)は、17~18mmですので、Cアイのポリの厚さは薄いところでも10mm以上あることになります。

 ゼネラルプロダクツ製マスクのCアイと違うのは、突起の数が少なく、Cアイのポリの肉厚が厚いことです。いや、実は、私、ゼネラルプロダクツ製マスクは所有していないので、本当はこの様に断言することはできないのですが、おそらくそうであろうと思います。

 ゼネラルプロダクツ製マスクの写真を初めて見たときから、Cアイの複眼パターンが、やけにきれいで、緻密に感じていました。おそらく、造型のレベルとしては、かなり高度で、正確な作りになっているのでしょう。ただ、実物はそうではない様です。

 厚みに関して、「何故、こんなに厚くなっているのか?」ということを考えると、複眼パターンを形成する際に、「ギリギリ薄く、美しく仕上げよう」という意識よりは、かなり「気楽」というか、窪みをつけることを前提に「ヨイショ」と粘土を貼り込み、何かの角を押し付けてパターンを形成していった状況が想像できます。

 もし、複眼パターンを、正確に、綺麗に形成するならば、明らかに凸モールドで形成して、それを反転させた方が、完成度が高いものが造型できると思われます。ただ、ノーズ部などでも同じことが言えるのですが、中途半端な正確さは、造型の「勢い」というものを奪ってしまう危険性があると感じます。

 上の写真は、左眼の成形物を外側から見たものです。成形物では、レンズの効果によって、まさか、ポリの肉厚がそんなに厚く、内側のパターンがそんなに小さいとは思えません。お手持ちの「仮面ライダー大全集」の表紙と見比べていただければ、納得していただけることと思います。

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