- アイディア集 -

 レプリカマスクを作る上で、私個人が工夫したアイディアを紹介します。実物の構造とは異なりますが、マスクのメンテナンス、経時変化への対応を考えると、結構便利なものだと思っています。基本的な考え方は、「ビス&ナット」により、分解・組み立てを容易にする」です。

 

○クラッシャーの固定

 実物では、ご存知のように、クラッシャー(下顎)とマスクとは別体で、クラッシャーは帽子に固定されています。しかし、これでは、マスクとクラッシャーを思った位置関係で固定するためには、頭の代わりになるスタンドが必要になってしまいます。かといって、クラッシャーをマスク側に固定してしまっては、被ることができなくなったり、特に旧1号の場合だと、クラッシャーの開き具合が調整できなくなってしまいます。

 そこで、マスク内部に片側2箇所、合計4箇所の固定ポイントを作り、クラッシャー側にはアルミ板を加工した固定用のリブを設けて、ナット4個でクラッシャーの開度を任意で固定できる構造にしてみました。回転の中心軸は4mm、開度の固定用は3mmにしてあります。

 

 4点支持にすることで、回転軸のみの2点支持に比べて固定時の安定度が格段に増し、クラッシャーが開いた状態で平らな台に置いといても、マスクの自重でクラッシャーが閉じてしまうといったことはありません。

 この構造ですと、マスクをクラッシャーが着いた状態で持ち上げることができますし、もちろん、被ることに支障はありません。クラッシャーの開度も自由に調節できます。

 

○アンテナの固定

 実物がどの様に固定されていたのか、見たわけではありませんが、おそらく、マスクとアンテナは何らかの形で接着されていたでしょう。私は、アルミ製のストッパをマスクの裏側に接着することで、アンテナを取り外し可能にしました。このストッパは、東急ハンズで購入したもので、アルミ製のリングに、中央の軸に対して垂直なイモネジが取り付けられたものです。こうしておけば、アンテナの角度を自由に調節できます。

 

○サイドカバーの固定

 マスク側面についているサイドカバーについてですが、皮製のため表面塗装が劣化しやすく、FRP製の本体に対して、明らかに経時変化しやすいパーツです。実物においても劣化が確認できますが、おそらくマスク本体に接着されていたのでしょう。きれいに修復されることはなかった様で、やがて見なくなってしまいました。クラッシャーの付け外しでもストレスが生じるので、このパーツも、ビスによる取り外し可能としました。

 切り出した皮製パーツを塗装後,アルミ板の帯金をマスク側、マスクに隠れて見えなくなる部分にビスとナットで取り付けます。このアルミ板にカーブを付けることで、マスクとの接合ラインをフィットさせ、型崩れを防止します。そして、マスクの内側に取り付けたナットに、ビスで固定する仕組みです。アルミ板によってカーブが形成されているため、マスクには2箇所の固定で十分です。サイドカバーが傷んだら取り外し、修復するなり、作り直すなりすれば、いつでも美しい状態が保てるというわけです。

 

○Cアイの反射板

 実物のCアイ反射板がどうなっていたか、確か、随分前の「宇宙船」かその増刊で、Cアイの断面とともに一度紹介されていた記憶があります。結構、安易な構造だった気がします。今回の試作では、Cアイの固定をかねて、アルミ板で作ってみました。アルミ板を使ったのは、「曲げ加工」ができるという理由です。

 ライダーマスクには、Cアイの下部に、グレーのシールド板を取り付けるビスが2箇所あります。このビスを、Cアイもろとも、反射板の固定に利用しようというわけです。そうすると、Cアイ底面と、ビスとの高さを調節するために、反射板の曲げ加工が必要となったのです。ここで、さすがにCアイ下部の2箇所だけでは固定できないので、マスクの裏側、Cアイ外上部にもう1箇所ビスを追加しました。平ビスとワッシャを組み合わせることで、比較的簡単かつ綺麗にマスクの内側にビスを立てられます。

 上記のアイディアを盛り込んだマスクを、分解状態、組み立て状態写真で紹介します。

パーツをバラした状態が上の写真です。マスクでCアイの穴斜め上に見えるビスが、Cアイ固定用のビスです。マスクの内側に、皿ビスの頭を金属フィラー入りのエポキシ接着剤で固定してあります。

 アンテナの左側にある穴の開いたアルミ板はOシグナル固定用のプレートで、このプレートにOシグナルのパーツを固定し、黒いパッキンをかませてプレートをOシグナルごとマスクに固定する仕組みです。Oシグナルのパーツはマスクの裏からの取り付けになりますので、こうしないと着脱が困難になります。

 Cアイはポリ、パラフィン、アルミ板という構成で固定しており、上は重ねた状態、下がちょっとずつずらして各パーツを見せている状態で、接着してません。こうすることでCアイとアルミ板の間に挟むパラフィンや反射板など、好みで変更できます。

 パーツを組むと、こんな感じになります。接着剤は一切使用していないので、ビスをはずせば上の状態になります。ただ、覗き穴周辺のビスは塗装しているので、マスク側の塗料にビス側の塗料が持っていかれてしまうので、スモーク板はあまり頻繁に取り外ししない方が無難です。

 サイドカバーは塗装していないので、外しています。

 組み立て後のマスク内部です。ビスが出ているので被ると痛そうですが、頭には干渉しませんので、内装を仕込めば普通に被る分には問題ありません。もちろんアクションなどやりませんので、取り外しできることの方が重要というわけです。

 簡単な構造ですが、意外としっかり固定できます。

 きちんと工作しておけば、マスク、Cアイ、スモーク板のクリアランスは十分タイトにすることが可能です。むしろタイトでないと、ビスでの固定時に問題となります。上の写真で、Cアイ下端とスモーク板表面の面はほぼ一致させてあることが判ります。旧1号のスチールなどでもそうなっています。

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