- 旧1号と新1号の違いについて -

 旧1号、旧2号、新1号と、ご存知のように仮面ライダーには複数のバリエーションが存在しています。一番の違いが色(塗装)であることは明確ですが、それだけではなく、多くの違いが存在しています。

 ここでは、旧1号、旧2号、新1号の、色(塗装)以外の違いについて考えてみたいと思います。

 

○マスク外形

 スチールなどの比較に加えて、私自身が見たり手にしてきたレプリカなどの形状から考えて、旧1号、旧2号、新1号の原型は同じであると考えています。エキスプロによって製作された、一般に「エキスライダー」と呼ばれる、「スカイライダー」でコスモプロによってリメイクされる以前のマスクとして知られているものがこれに当たります。

 この「エキスライダー」共通の特徴としては、①マスク正面向かって左側、右側面にゆるやかな凹凸があること、②同向かって左側、クラシャーとの右境目が左に比べてやや上に上がっていること、③上面からの形状で右後頭部が左後頭部よりも出っ張っていること、などが挙げられます(下図参照)。

 私が手にした旧2号、新1号のレプリカはどちらも同じ特徴を有しており、スチールからもこの形状が確認できること、旧1号は全て旧2号にリペイントされたとされることから、旧1号、旧2号、新1号の原型は同じであると結論づけています。その他にも細かい特徴は多々ありますが、ここで一々指摘する必要はないと考えます。

 では、旧1号、旧2号、新1号は全て同じか?と問われると、それはそれで疑問があます。具体的には「桜島1号」以前とそれ以降です。これに関しては何か根拠があるわけではなく、ただ単に、桜島1号は新調されたマスクであり、その際に型を新調し、マスクの量産体制を整えたのではないか?という推測にすぎません。

 新1号以降のスチールを見ていくと、Oシグナルがモールドになった他、クラッシャーなどのモールドに、ペーパーがけによって生じたと思われる、特有の「ダレ」を認めることができます。新調された直後と考えられるマスクでも同様の特徴が認められることから、新1号のマスク作製に使用していた型そのものが同じ形状を有していたと考えられます。同様の形状は旧1号では認められません。したがって、旧1号と新1号とでは型が異なり、新1号は旧1号(旧2号)のマスクを修正したものを原型としている可能性が高いと推定しています。

 このマスク外形に関して最も現実的な問題は、新1号マスクのレプリカから旧1号マスクを再現することが可能か?ということになるかと思いますが、個人的な見解は、「全く問題なし」です。理由は別項でも述べている通り、旧1号、それも第1話使用マスクそのものはその時の状態では現存しておらず、数種類存在した旧1号マスクですらいくつかの相違点を有しており、旧1号マスクそのものが製作時に多くの手が入れられていると考えられる以上、新1号であったとしても元となるマスクがエキスライダーでさえあれば、形状の修正によって旧1号同様にすることができる、との考えです。

 

○Cアイ

 目立ちませんが、旧1号と新1号で形状の最も大きな違いは、Cアイです。

 何が違うかというと、Cアイの外形です。複眼モールドは同一です。したがって、複眼モールドがオリジナルであったとしても、新1号のCアイでは外形が異なるため、旧1号を再現することはできません。

 具体的には、新1号のCアイは旧1号のCアイよりも幅が狭く、旧1号のCアイが左右対称の形状であるのに対して、新1号のCアイは左右非対称の形状になっています。 したがって、旧1号のCアイでは左右のCアイを入れ替えても無理なくはまるのに対して、新1号では左右のCアイ入れ替えは不可能ですし、旧1号のCアイ用にマスクを製作すると、新1号のCアイでは隙間が空いてしまって固定できません。

 下に、両者の比較を示します。両者の幅の違いは最大で5mm程度ですが、全体に肉厚が薄くなっており、新1号のCアイは旧1号のCアイに比べて高さも数mm程度低くなっています。

 

 この変更がどのような経緯で行なわれたものかは解りませんが、上記マスクの変更と同時に行なわれたと考えるのが最も妥当でしょう。Cアイはそれ単体でかなりの重量があり、激しいアクションを行なう上で軽量化が望まれたとしても不思議はありません。

 旧1号のマスクにおけるCアイの外形を詰めていくと、Cアイはほとんどマスクの外に露出させざるを得ず、接合ラインは外形ギリギリとなります。したがって、旧1号マスクを再現するためには新1号のCアイでは不可能であり、少なくとも外形を旧1号のCアイと同じ形状に修正する必要があります。

 

○クラッシャー(下顎)

 クラッシャーに関しては、旧1号ではクラッシャーの噛み合わせがモールドされているのに対して、新1号ではそれがないという、誰でも見て解る程度の違い以外、正確な形状の比較はできていません。鹿革スーツスタジオスチールにおける「バリ」を見る限り、噛み合わせのモールドは型の段階で形成されていると考えられます。したがって、旧1号と新1号とで型が異なることは明白です。

 顎の割れ目を中心に検討する余地はあると思われますが、ラテックスという成型素材と顎紐の存在もあり、この検討には時間が必要と考えています。

旧1号

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